●健康保険の目的
私たち働く者にとっていちばん気がかりなことのひとつに、自分自身や家族のだれかが病気になったりケガをしたときの医療費や生活費をどうするか、という問題があります。これは病気やケガに限らず、出産や死亡の場合も同じことです。
健康保険はこのような不時の出費に備えて、働いている人たちがそれぞれの収入に応じて保険料を出し合い、これに事業主も負担し、思わぬ事故でケガをしたり、病気になったとき、また出産や死亡などのときに、個人に代わって必要な医療や現金を支給するなどして、生活上の不安を取り除こうという、“相互扶助”の精神にもとづいて生まれた制度です。
●健康保険組合とは
健康保険の仕事は、全国健康保険協会と健康保険組合がおこないます。常時従業員が700人以上いるか、同種同業の事業所が集って3,000人以上いる場合には、厚生労働大臣の認可を得て健康保険組合を設立し、独自の立場で健康保険の事業を運営することができます。これを全国健康保険協会がおこなう全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)に対して組合管掌健康保険といいます。皆さんが加入するのは後者の健康保険です。
●健康保険組合のメリット
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)に比べて組合管掌健康保険には次のようなメリットがあります。
- ①
- 健康保険組合では法律で決められた法定給付のほかに、組合財政の実情に応じて付加給付事業をおこなうことができます。
- ②
- 健康保険組合では健康増進をはかるために各種疾病予防事業、体育奨励事業、レクリエーション活動、保養所利用補助など独自の保健事業をおこなうことができます。
- ③
- 健康保険組合では保険料率を組合財政状況に応じて1000分の30~120までの範囲で決めることができます。(介護保険料率とは別建て)
保険証(健康保険被保険者証)について
健康保険組合の被保険者になると、その証明書として「健康保険被保険者証(保険証)」が被保険者および被扶養者にそれぞれ渡されます。健康保険を扱っている病院や診療所の窓口にこの保険証を差し出せば、かかった医療費の一部負担のみで必要な治療が受けられます。
保険証は大切に保管し、治療が終わったら忘れずに返してもらうようにしてください。また保険証の記載事項は住所欄以外、自分で訂正することができませんので、変更や異動があったときは、すみやかに事業主を通じて健康保険組合に届出てください。
■保険医療のしくみ
健康保険は次のようなしくみで成り立っています。医療費を全額支払うことなく、治療等が受けられるのはこのしくみが確立されているためです。